●上富田町の年中行事  

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 高灯籠
高灯籠

 盆には、新仏の家では軒下に精霊棚をつくり、中におさや(霊屋)を入れる。精霊棚はミズタナと言い、青竹の丸いのを四本立てて枠にし、四角い棚を設け、周囲を松葉で囲うのはだいたいこの地方のどこも同じで、いまも行われることである。十四日の晩には、川原や広場などで百八タイの松明を焚いた。近頃は仏具屋で販売している階段式の棚に、ろうそくを立てる家が多くなった。

 生馬では、新仏の家では、高灯籠といって竿の先に木製の灯籠をつけ、盆の月中夕方になると火を入れる風習があった。もとは松明をつけて燃やしていたのが灯籠に変わり、灯明油に火をつけていたが、更に豆電球に変わってきたという。岡などでも、明治のころまでは、同じような高灯籠を掲げていた。 

 同じようなことは、田辺の三栖、上秋津、中芳養などでも行われ、そこではムカエタイマツと言って肥松を竹竿の先に差し、それに火をつけて高く立てた。それによって、家に帰ってくる仏さんの目じるしにしたのだという。市鹿野などでも高灯籠が見られたというから、少し以前にはある程度広く行われていたのかもしれない。

 お盆に新仏をどこから迎えてくるかということがあり、埋葬して祀っているお墓からとか、ミコに拝んでもらって家へ迎えるところもあり、お盆近くになってはミコも忙しくなるので、早い目に迎えておく家もあったらしい。

 また、新仏は高い山に行っているとみて、それを迎える目安として百八タイを焚いたり、高い竿の先にタイマツをつけて燃やしたりしたのである。

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