税制改正について

1.セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の創設

 平成28年度税制改正で、適切な健康管理の下で医療用薬品からの代替を進める観点から、健康の維持増進及び疾病への予防として一定の取組を行っている個人が、平成29年1月1日から本人や本人と生計を一にする親族のために特定一般用医薬品等購入費(医師によって処方される医療用医薬品からドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品の購入費)の合計額が1年間に1万2千円を超えて支払った場合には、1万2千円を超える額(控除限度額8万8千円)が所得控除できる特例が創設されました。

従来の医療費控除との選択適用となります。

≪適用期間≫

平成29年1月1日から令和3年12月31日までの5年間

(平成29年分の所得税、平成30年度の個人住民税から5年間適用)

≪適用要件とされる取組≫

 次の1から5のいずれか1つに該当する検診又は予防接種(医師の関与があるものに限る)を受けていることが要件とされます。

 1.特定健康診査(いわゆるメタボ検診)

 2.予防接種

 3.定期健康診断(事業主検診)

 4.健康診査(人間ドック等で、医療保険者が行うもの)

 5.がん検診

※注意

 申告の際には、検診又は予防接種を受けた「一定の取組」を明らかにする書類が必要です。例えば、インフルエンザ予防接種の領収書や人間ドック、がん検診を受けた領収書又は結果通知表などです。

 検診又は予防接種に要した費用は、スイッチOTC薬控除の対象にはなりません。

 

3.配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し

 平成29年度の税制改正で、配偶者特別控除について、所得控除額38万円の対象となる配偶者の合計所得が85万円(給与所得のみの場合、給与収入150万円)に引き上げられます。

 また、配偶者控除・配偶者特別控除について、控除が適用される納税者本人の合計所得金額に所得制限が設けられます。

≪配偶者控除の見直し≫

 控除対象配偶者又は老人控除対象配偶者を有する居住者(納税者本人)について適用する所得税の配偶者控除の額が次のとおりとされます。なお、合計所得が1,000万円を超える居住者については、配偶者控除の適用はできないこととされます(個人住民税の配偶者控除も同様です。)。

(カッコ内は所得税の配偶者控除額)

居住者(納税者本人)の

合計所得金額(※)

控除額
控除対象配偶者 老人控除対象配偶者
改正前 改正後 改正前 改正後
1  900万円以下

33万円

(38万円)

33万円

(38万円)

38万円

(48万円)

38万円

(48万円)

2

900万円超

950万円以下

22万円

(26万円)

26万円

(32万円)

3

950万円超

1,000万円以下

11万円

(13万円)

13万円

(16万円)

(※)納税者本人が会社員などの給与収入のみの場合の収入額でいうと、それぞれ1,120万円以下、1,120万円超1,170万円以下、1,170万円超1,220万円以下となります。

≪配偶者特別控除の見直し≫

 所得税の配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下(現行38万円超76万円未満)とされ、その控除額が次のとおりとされます。なお、現行制度と同様に、合計所得金額が1,000万円を超える居住者(納税者本人)については、配偶者特別控除の適用はできないこととされます。(個人住民税の配偶者特別控除も同様です。)

(カッコ内は所得税の配偶者特別控除額)

配偶者の合計所得金額 控除額
居住者(納税者本人)の合計所得金額の区分
900万円以下

900万円超

950万円以下

950万円超

1,000万円以下

38万円超85万円(※)以下 33万円(38万円) 22万円(26万円) 11万円(13万円)
85万円超90万円以下 33万円(36万円) 22万円(24万円) 11万円(12万円)
90万円超95万円以下 31万円(31万円) 21万円(21万円) 11万円(11万円)
95万円超100万円以下 26万円(26万円) 18万円(18万円)   9万円(  9万円)
100万円超105万円以下 21万円(21万円) 14万円(14万円)   7万円(  7万円)
105万円超110万円以下 16万円(16万円) 11万円(11万円)   6万円(  6万円)
110万円超115万円以下 11万円(11万円)   8万円(  8万円)   4万円(  4万円)
115万円超120万円以下   6万円(  6万円)   4万円(  4万円)   2万円(  2万円)
120万円超123万円以下   3万円(  3万円)   2万円(  2万円)   1万円(  1万円)

(※)合計所得金額85万円はパート・アルバイトなどの給与収入のみの場合の収入額でいうと150万円です。

≪適用期日≫

 上記の改正は、平成30~令和元年分の所得税及び令和元~2年度分の個人住民税について適用されます。

※令和3年度以降については、下段に記載しています。

4.個人町民税の住宅借入金等特別税額控除の期間延長について

 平成31年度税制改正で、消費税率10%が適用される住宅取得等について、令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に居住の用に供した場合、所得税における住宅ローン控除の控除期間が3年間(現行10年間→13年間)延長されます。それに伴い、個人住民税についても、11年目から13年目について、所得税額から控除しきれない額について、改正前と同じ控除限度額の範囲で税額控除が適用されます。

≪適用期日≫

上記の改正は令和2年度の個人住民税から適用されます。

5.令和3年度課税分から実施される主な改正について

≪基礎控除の改正≫

1.基礎控除額が10万円引き上げられます。

2.前年の合計所得金額が2,400万円を超える納税義務者について、金額に応じて控除額が逓減し、2,500万円を超える場合は、基礎控除の適用がされなくなります。

(カッコ内は所得税の基礎控除額)

所得割の納税義務者の前年の合計所得金額 基礎控除額
改正前 改正後
2,400万円以下

33万円

(38万円)

43万円

(48万円)

2,400万円超2,450万円以下

29万円

(32万円)

2,450万円超2,500万円以下

15万円

(16万円)

2,500万円超 適用なし

≪調整控除の改正≫

前年の合計所得金額が2,500万円を超える納税義務者については、調整控除が適用されなくなります。

≪給与所得控除の改正≫

1.給与所得控除が一律10万円引き下げられます。

2.給与所得控除が上限となる給与等の収入金額が1,000万円から850万円に、控除の上限額が220万円から195万円にそれぞれ引き下げられます。

≪所得金額調整控除の創設≫

前年の給与等の収入金額が850万円を超える場合、

1.本人が特別障がい者に該当する

2.23歳未満の扶養親族を有する

3.特別障がい者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する

上記のいずれかに該当するときは、次の式において算出した金額を給与所得の金額から控除することとしています。

(前年の給与等の収入金額(上限1,000万円)-850万円)×10%

≪公的年金等控除の改正≫

1.公的年金等控除額が一律10万円引き下げられます。

2.公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合、195万5千円が控除額の上限となります。

3.公的年金等の収入以外の所得が1,000万円超2,000万円以下で10万円、2,000万円を超える場合で20万円、それぞれ控除額が引き下げられます。

65歳未満の場合

公的年金等控除額
公的年金等収入金額

改正前 

改正後
公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額
区分なし 1,000万円以下

1,000万円超

2,000万円以下

2,000万円超
130万円未満 70万円 60万円 50万円 40万円

130万円以上

410万円未満

収入×25%+

37万5千円

収入×25%+

27万5千円

収入×25%+

17万5千円

収入×25%+

7万5千円

410万円以上

770万円未満

収入×15%+

78万5千円

収入×15%+

68万5千円

収入×15%+

58万5千円

収入×15%+

48万5千円

770万円以上

1,000万円未満

収入×5%+

155万5千円

収入×5%+

145万5千円

収入×5%+

135万5千円

収入×5%+

125万5千円

1,000万円以上 195万5千円 185万5千円 175万5千円

65歳以上の場合

公的年金等控除額
公的年金等収入金額 改正前 改正後
公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額
区分なし 1,000万円以下

1,000万円超

2,000万円以下

2,000万円超
330万円未満 120万円 110万円 100万円 90万円

330万円以上

410万円未満

収入×25%+

37万5千円

収入×25%+

27万5千円

収入×25%+

17万5千円

収入×25%+

7万5千円

410万円以上

770万円未満

収入×15%+

78万5千円

収入×15%+

68万5千円

収入×15%+

58万5千円

収入×15%+

48万5千円

770万円以上

1,000万円未満

収入×5%+

155万5千円

収入×5%+

145万5千円

収入×5%+

135万5千円

収入×5%+

125万5千円

1,000万円以上 195万5千円 185万5千円 175万5千円

≪扶養親族等の合計所得金額要件等の改正≫

(カッコ内は所得税の配偶者、配偶者特別控除額)

配偶者の合計所得金額 納税者本人の合計所得金額

900万円以下

900万円超

950万円超以下

950万円超

1,000万円超以下

控除対象配偶者

48万円以下

33万円

(38万円)

22万円

(26万円)

11万円

(13万円)

老人控除対象配偶者

48万円以下

38万円

(48万円)

26万円

(32万円)

13万円

(16万円)

48万円超95万円以下

33万円

(38万円)

22万円

(26万円)

11万円

(13万円)

95万円超100万円以下

33万円

(36万円)

22万円

(24万円)

11万円

(12万円)

100万円超105万円以下

31万円

(31万円)

21万円

(21万円)

11万円

(11万円)

105万円超110万円以下

26万円

(26万円)

18万円

(18万円)

9万円

(9万円)

110万円超115万円以下

21万円

(21万円)

14万円

(14万円)

7万円

(7万円)

115万円超120万円以下

16万円

(16万円)

11万円

(11万円)

6万円

(6万円)

120万円超125万円以下

11万円

(11万円)

8万円

(8万円)

4万円

(4万円)

125万円超130万円以下

6万円

(6万円)

4万円

(4万円)

2万円

(2万円)

130万円超133万円以下

3万円

(3万円)

2万円

(2万円)

1万円

(1万円)

要件等 改正前 改正後
扶養親族の前年の合計所得金額 38万円以下 48万円以下
勤労学生の前年の合計所得金額 65万円以下 75万円以下

≪寡婦(夫)等控除の要件の改正≫

改正前

(カッコ内は所得税の控除額)

区 分 離 別 死 別
合計所得金額 500万円 500万円
以下 以下

30万円

(35万円)

26万円

(27万円)

30万円

(35万円)

26万円

(27万円)

子以外

26万円

(27万円)

26万円

(27万円)

26万円

(27万円)

26万円

(27万円)

26万円

(27万円)

26万円

(27万円)

26万円

(27万円)

子以外

改正後

(カッコ内は所得税の控除額)

区分 離別 死別 未婚のひとり親
合計所得金額 500万円 500万円 500万円
以下 以下 以下

30万円

(35万円)

30万円

(35万円)

30万円

(35万円)

子以外

26万円

(27万円)

26万円

(27万円)

26万円

(27万円)

30万円

(35万円)

30万円

(35万円)

30万円

(35万円)

子以外

≪ひとり親に対する非課税措置の創設≫

 未婚のひとり親(住民票の続柄に「夫(未婚)」「妻(未婚)」の記載がある者は対象外)の方で、前年の合計所得金額が135万円以下の場合は、非課税の対象となります。

≪非課税基準となる所得金額要件等≫

要件等 改正前 改正後

均等割も所得割もかからない人

(障がい者、未成年者、寡婦、ひとり親に該当)

125万円以下 135万円以下

均等割がかからない人

(合計所得金額が右記以下になる人)

28万円×(本人+扶養者数)+16万8千円 28万円×(本人+扶養者数)+10万円+16万8千円

28万円

38万円

所得割がかからない人

(総所得金額が右記以下になる人)

35万円×(本人+扶養者数)+32万円 35万円×(本人+扶養者数)+10万円+32万円
35万円 45万円

 

この記事に関するお問い合わせ先

税務課 課税班

〒649-2192
和歌山県西牟婁郡上富田町朝来763番地
電話番号:0739-34-2371 ファックス:0739-47-4005

メールでのお問合せはこちら

更新日:2020年12月04日