●南方熊楠と上富田町 |
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八上王子 | |
しかして右の八上王子は『山家集』に、西行、熊野へ参りけるに、八上の王子の花面白かりければ社に書きつけける 待ち来つる 八上の桜 咲きにけり 荒くおろすな 三栖の山風 とて、名高き社なり。シイノキ密生して昼もなお闇く、小生、平田大臣に見せんとて写真とりに行きしに光線入らず、止むを得ず社殿の後よりその一部を写せしほどのことなり。この辺に柳田国男氏が本邦風景の特風といえる田中神社あり。勝景絶佳なり。 また岩田王子、すなわち重盛が父の不道をかなしみ死を祈りし名社あり。 (「松村任三宛書簡」。明治四十四年八月二十九日) |
八上神社とその森 |